賃貸管理は、管理戸数よりも「向き合い方」が大切

不動産会社を経営していて、最近つくづく思うことがあります。

賃貸管理という仕事は、決して簡単なものではない。

不動産業界では、賃貸管理は毎月一定の管理料が入ってくる「ストックビジネス」として知られています。

管理戸数が増えれば安定収入が増え、会社の経営基盤も強くなる。

確かに、その考え方は間違っていません。

しかし、実際に賃貸管理の現場にいると、数字だけでは測れない仕事の重さを感じることが多々あります。

今日は、そんな賃貸管理について、不動産会社の経営者として感じていることを書いてみたいと思います。

賃貸管理は、人の暮らしを預かる仕事

賃貸管理というと、家賃の集金や建物の維持管理、入退去の手続きなどをイメージされる方が多いと思います。

もちろん、それらは大切な業務です。

しかし、実際の仕事はそれだけではありません。

入居者さんは、日常生活の中で建物にまつわる困りごとが発生すると、まず管理会社へ連絡します。

「エアコンが効かない」

「お湯が出ない」

「雨漏りしている」

「トイレの流れが悪い」

「隣の部屋の音が気になる」

「駐車場で困ったことがある」

相談の内容は実にさまざまです。

設備の故障もあれば、建物の不具合、時には入居者さん同士の人間関係に関する相談もあります。

管理会社は、そうした困りごとの最初の相談窓口になります。

つまり、賃貸管理を引き受けるということは、単に建物を管理するのではなく、そこで暮らす人たちの日常生活を支える役割を担うということなのです。

私は、この認識がとても大切だと思っています。

何も起きないことが、実は一番ありがたい

賃貸管理の仕事をしていて、何よりありがたいのは、入居者さんが毎日を平穏に過ごしてくださることです。

設備が正常に動き、建物に問題がなく、ご近所同士のトラブルもない。

オーナーさんにとっても、入居者さんにとっても、それが理想的な状態だと思います。

しかし、建物は年月とともに古くなります。

給湯器やエアコンなどの設備には寿命がありますし、台風や大雨によって思わぬ不具合が発生することもあります。

人が暮らしている以上、予想していなかった問題が起きることもあるでしょう。

賃貸管理において、トラブルを完全になくすことはできません。

だからこそ、何かが起きたときに、どのように対応するかが大切になります。

状況を正確に把握すること。

必要な業者を手配すること。

オーナーさんに適切な報告と提案をすること。

そして、入居者さんが安心して暮らせる環境を取り戻すこと。

普段は目立たない仕事ですが、こうした一つひとつの積み重ねが、賃貸管理の品質を決めるのだと思います。

管理戸数が増えるほど、責任も増えていく

不動産会社のホームページを見ると、「管理戸数○○○○戸」という数字をよく見かけます。

多くの物件を管理していることは、それだけの実績と体制があるということですから、もちろん大きな強みです。

一方で、私は管理戸数の多さだけが、不動産管理会社の価値を決めるものではないと思っています。

例えば、100室を管理していて、99室で何も問題が起きなかったとしても、残りの1室で大きなトラブルが発生することがあります。

その一件に、何時間も、時には何日も向き合わなければならないこともあります。

問題が複雑になれば、解決まで数週間、数か月かかることもあります。

賃貸管理は、管理戸数と仕事量が必ずしも比例する仕事ではありません。

管理戸数が増えるということは、管理料が増えるだけではなく、それだけ多くの暮らしと責任を預かるということ。

私は、そのことを常に意識していたいと思っています。

オーナーさんと入居者さん、双方の立場を理解する

賃貸管理で難しいと感じるのが、オーナーさんと入居者さん、それぞれの立場を考えながら判断しなければならないことです。

例えば、設備が故障したとします。

入居者さんにとっては、毎日の生活に関わる問題ですから、できるだけ早く修理してほしいと思うのは当然です。

一方、オーナーさんにとっては、修理費用が発生することになります。

建物を長く維持していくためには、費用対効果を考えることも必要です。

管理会社は、その両方の立場を理解しながら、適切な方法を考えなければなりません。

修理で対応できるのか。

交換した方が長期的には経済的なのか。

今すぐ対応する必要があるのか。

将来の修繕計画に組み込めるのか。

単に業者を手配するだけでなく、オーナーさんの大切な資産を守るという視点で判断することが重要だと思っています。

入居者さんの満足度を高めることは、長期入居にもつながります。

長く住んでいただければ、空室期間や原状回復費用、募集に伴う負担を抑えることにもつながります。

つまり、入居者さんの暮らしを守ることは、結果としてオーナーさんの利益を守ることにもなるのです。

小さな不動産会社だからこそ、できる管理がある

太平洋不動産は、二宮町を中心に営業している地域密着型の不動産会社です。

大手の管理会社のように、何千戸、何万戸という物件を管理する体制ではありません。

しかし、小さな会社には小さな会社の強みがあると思っています。

それは、一つひとつの物件やオーナーさんの事情を把握し、顔の見える関係で仕事ができることです。

建物が建てられた経緯。

オーナーさんが大切にしていること。

過去にどのような修繕を行ってきたのか。

入居者さんからどのような相談があったのか。

そうした情報を積み重ねることで、単なる事務的な管理ではない、その物件に合った対応ができると考えています。

また、難しい問題が発生したときには、経営者である私自身が判断に関わることもあります。

小さな会社だからこそ、現場の状況を把握し、必要な判断を迅速に行える。

これは地域密着型の不動産会社ならではの強みだと思っています。

管理をお引き受けすることは、長いお付き合いの始まり

賃貸管理は、一度契約を結べば終わりという仕事ではありません。

むしろ、そこから長いお付き合いが始まります。

建物は年々古くなりますし、入居者さんの入れ替わりもあります。

将来的には、大規模修繕や建て替え、売却、相続といった問題に直面することもあるでしょう。

そうしたとき、建物のことをよく理解している不動産会社が身近にいることは、オーナーさんにとって心強いことだと思います。

私たちは、目先の管理料だけを考えて仕事をしたいとは思っていません。

10年後、20年後も含めて、その不動産をどう維持し、どのように活用していくのが良いのか。

必要であれば、修繕だけでなく、売却や建て替えという選択肢をご提案することもあります。

賃貸管理とは、建物の現在だけでなく、将来にも関わる仕事なのだと思います。

管理戸数よりも、管理の質を大切にしたい

私は、管理戸数を増やすこと自体を会社の目標にするつもりはありません。

もちろん、管理をお任せいただけることは大変ありがたいことです。

しかし、無理に管理戸数を増やした結果、一つひとつの物件への対応がおろそかになってしまっては、本末転倒です。

私たちが責任を持って対応できる範囲で、オーナーさんとの信頼関係を大切にしながら管理を続けていく。

その方が、太平洋不動産らしい仕事の仕方だと思っています。

管理をお引き受けする以上、良いことばかりではありません。

設備の故障もあれば、家賃滞納や近隣トラブルなど、難しい問題に直面することもあります。

だからこそ、問題が発生したときに逃げずに向き合うこと。

そして、オーナーさんにとって何が最善なのかを考え、適切な提案をすること。

それが管理会社としての責任だと思っています。

最後に

賃貸管理は、毎月管理料をいただくだけの仕事ではありません。

そこには、建物を守り、入居者さんの暮らしを支え、オーナーさんの大切な資産を維持していくという責任があります。

そして、建物に人が暮らしている以上、困りごとやトラブルが完全になくなることはありません。

だからこそ、管理会社の本当の価値は、何も起きていないときよりも、何か問題が起きたときにこそ表れるのだと思います。

私たち太平洋不動産は、管理戸数の多さを競うよりも、一つひとつの物件に丁寧に向き合う会社でありたいと考えています。

オーナーさんが安心して不動産を所有し、入居者さんが安心して暮らせること。

そのために、地域の不動産会社として何ができるのか。

これからも、そのことを大切にしながら賃貸管理に取り組んでいきたいと思います。